不妊・妊活の知識 - 不妊症の原因

 

1)不妊症とは

赤ちゃんを授かりたい夫婦が避妊をせずに性交渉をしていて、2年以上妊娠しないことを、医学的に不妊症と定義しています。
性交渉1回での妊娠率は年齢にもよりますが10%~25%ほどで、これは排卵日に合わせて性交渉をして、4回~10回に1回妊娠できるという確率です。40歳になると妊娠率はわずか5%にまで低下するので、晩婚化が進み今や6組に1組が不妊症の悩みを抱えているといわれており、不妊症は珍しい悩みではないのです。20回に1回妊娠するという確立まで低下してしまいます。

2)不妊症の原因

不妊症とひとことにいっても、その原因はさまざまです。また、原因がひとつとは限らず複数にからみあっていることもあります。

―女性因子―

〈排卵障害〉
■高プロラクチン血症
「プロラクチン」は、出産後おっぱいの分泌を促すホルモンですが、高プロラクチン血症では、妊娠出産とは関係なくプロラクチンが過剰に分泌されてしまい、生理が止まったり排卵がなくなったりする原因となります。

■卵胞刺激ホルモンの分泌低下
排卵は、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンや黄体ホルモンによってコントロールされていますが、それらのホルモン分泌が十分でなかったりバランスが崩れたりすると、卵胞が育ちきらず、排卵できない状態となります。

■多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)
卵巣の表面に小さな卵胞がいくつもできてしまい、それぞれがある程度まで育つものの成熟まではいかず、排卵できない病気です。男性ホルモンの分泌過多により卵巣の表面がかたくなり、卵子が外に飛び出すことができずに無排卵となります。

■黄体化非破裂卵胞症候群
排卵していないのに、卵の中に黄体ができてそのまま黄体ホルモンと化してしまう症状のことです。一過性のものもありますが、繰り返すこともあり、その場合は子宮内膜症を起こしていないかの検査が必要になります。黄体化未破裂卵胞症状ともいいます。

■早期卵巣不全
一般的な閉経は50歳くらいと言われていますが、40歳より前に生理が止まってしまう症状のことで、原子卵胞の減少、放射線や化学療法によるガンの治療が原因となることが多いようです。

■太りすぎ(肥満)
太りすぎて内臓脂肪が肥大化すると、ホルモンバランスが崩れ、排卵障害が起きます。

■痩せすぎ
もともとの体型が痩せ形なのではなく、強度のストレスや無理なダイエットが原因で極端に体重が減った場合、生理不順が起き、放っておくと排卵自体がなくなり無排卵となってしまう可能性があります。体重と排卵は関係が深いので、適度な体重を保つことが大切です。

〈子宮着床障害〉
着床障害は着床不全とも呼ばれ、体外受精で良質な受精卵を子宮に戻しても、着床ができない状態を指します。着床できなかった場合だけではなく、着床したものの長続きせずに流産してしまった場合(化学流産)も含めます。一般的に、体外受精や顕微授精を3回以上行っても妊娠できない場合に、着床障害と診断されます。着床障害を招く病気にはいくつかあります。現在の医療では解明されていない部分もあるためすべてではありませんが、代表的なものをご紹介します。

■子宮筋腫
子宮内に発生する良性の腫瘍です。小さければ着床を妨げませんが、肥大化すると着床を妨げる原因になります。子宮内膜を圧迫する場合には手術による摘出が必要です。

■子宮奇形
生まれつき子宮の形が正常ではないために着床の妨げになる場合があります。子宮の形が悪影響を与えている場合には開腹手術により子宮を正常な形に治します。

■子宮内膜癒着
流産時の手術や中絶の際にできた傷や内膜の炎症で、子宮内膜が他の臓器とくっついてしまうこと(癒着)で着床を妨げてしまいます。子宮内膜の癒着をはがす治療が必要になります。

■黄体機能不全
子宮内膜を厚くするための黄体ホルモン(プロゲステロン)が正常に分泌されていない状態です。病院では、黄体ホルモンの値が低い場合には黄体ホルモンを補充するという対症療法しか対応方がありません。

〈卵管障害〉 
卵管は、卵巣から排卵された卵子を取り込んだり、精子や受精卵が通る道であったりと、排卵・受精・着床の一連の流れにおいて非常に大きな役割を担っています。 そのため、この卵管が詰まったり塞がってしまうと妊娠は不可能となり、この状態を「卵管障害」と言います。 卵管は細い部分で1mmほどしか幅がなく、些細なことですぐに塞がってしまうことから、卵管障害の方はとても多く、不妊症の原因のおよそ3割を占めると言われています。

■子宮内膜症の発症
本来、子宮内膜に発生する子宮内膜組織が卵管に発生した場合、炎症が起こり癒着を招いてしまいます。

■性感染症による炎症
クラミジアや淋病などの感染症にかかると卵管に炎症が起こり、卵管が癒着することがあります。

■手術の後遺症
過去に帝王切開や子宮外妊娠、盲腸、腹膜炎などで開腹手術をおこなった場合、卵管に菌が進入し癒着することがあります。

■卵管水腫の発生
卵管に炎症があることで、卵管内に水や分泌物がたまってしまう状態。卵管が詰まる原因になります。

■ピックアップ障害
ピックアップ障害とは卵管の一番先端にある卵管采(卵巣から飛び出した卵子を受け止める役目)が正常に機能していない症状のことをいいます。ピックアップ障害は、卵子が自然に卵管内に取り 込まれないため、妊娠するためには体外受精の必要があります。

〈頸管障害〉
■頸管粘液不全
排卵日を迎える排卵の前の時期になると子宮頸管粘液(おりもの)の分泌量が増加して精子が子宮へと入りやすくなるのが通常の状態です。この頸管粘液の分泌量の増加が十分でない状態になると、精子が子宮へ進めなくなり受精ができにくくなるということになります。

■抗精子抗体
人間の体には「免疫」という身体に侵入してくる異物(病原菌など)を排除するシステムがあります。その異物を撃退する役割を担っているのが「抗体」です。
ごくまれに、この異物を排除する身体のメカニズムが精子に対しても機能してしまうことで不妊症の原因となることがあります。この精子を異物と判断してしまうアレルギー反応を起こさせる抗体を抗精子抗体といいます

 

―男性因子―

男性因子の不妊原因を説明する前に、男性生殖器とそのしくみを知っておきましょう。
男性の性器が性にかかわる役割は、精子をつくり、それを女性の腟内に送り込むといったシンプルなものです。妊娠で欠かせない重要な役割を果たす女性の卵子と男性の精子。人間の精子は、長さが約0.06mで、丸い頭部と頚部、尾部でできていて、オタマジャクシのような形です。
陰茎から腟に射精された精液中の精子が、卵子とうまくめぐり会えて受精卵となれば、これが赤ちゃん誕生のもとになります。男性性器には、女性性器ほどホルモンに支配された周期的な変化はありません。下垂体ホルモンの卵胞刺激ホルモンで精子がつくられ、黄体化ホルモンで男性ホルモンがつくられる程度です。

男性側の不妊の原因は、精子に問題があることがほとんどです。
標準的な精子には、1mlあたり4000万個以上の精子が含まれます。膣内に射精された精子は、
卵子の待つ卵管をめざしていっせいに進みますが、実際に卵子のもとに到達する精子は、ほんのひと握りにすぎないのです。
そのため、受精が成立するためには、精液中に健康で活発な精子が一定数以上いることが大前提となります。おおよその目安として、精子の数が1mlあたり2000万個以下になると、妊娠が難しくなるといわれています。

〈造精機能障害〉
精巣で、十分な数の精子がつくられなくなることをいいます。造精機能障害には、精液中に精子が1個もみられない無精子症、数が少ない乏精子症、運動能力が低い精子無力症、奇形の精子が多い
精子奇形症があります。

〈精路通過障害〉
精巣でつくられた精子は、精管や尿道などを通ってペニスから射精されますが、その精液が通る精   
路に何らかの問題があり、精液中に精子がみられなくなってしまいます。これを、精路通過障害といいます。生まれつき精管が欠損していることや、感染症により詰まりが起きている場合などがあります。

〈性機能障害:ED〉
勃起や射精ができない性機能障害には、身体性のものと、心因性のものがあります。前者の場合は治療で解消できるケースがほとんどですが、後者の場合はやや複雑です。

 

2018年5月24日 カテゴリー:不妊・妊活

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