【医師監修】精子の運動率を上げる方法7選|今すぐできる生活習慣とNGな行動

妊活に取り組む中で、精液検査の「精子運動率」が低いと指摘され、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
精子の運動率は妊娠のしやすさに関わる重要な指標ですが、一度の検査結果だけで妊娠できるかどうかが決まるわけではありません。精液の状態は、体調や生活習慣、検査条件などによって変動するためです。
この記事では、精子運動率の基準や妊娠への影響、運動率の低下につながる習慣、今日から実践できる生活改善のポイントについて解説します。

【この記事の監修医師】
片山 典子
りんどうオンラインクリニック 産婦人科医
片山産婦人科 院長

経歴
2005年に医師免許取得。岡山県内、鳥取県内の総合病院で産婦人科医を歴任し、2021年より片山産婦人科に勤務(現院長)。2023年より、りんどうオンラインクリニックの産婦人科医を務める。

監修医からのコメント
全ての女性がココロもカラダも健やかに過ごすことができ、家族全員、そして地域全体の人々の健康につながるようサポートできればと思っています。今ある症状を改善するだけでなく、日々の生活習慣を見直し、根本から「不妊にならない」「病気にならない」「病気を繰り返さない」カラダづくりを目指す支援をしていきます!

【この記事でわかること】

精子の「運動率」とは?知っておきたい基準値と妊娠への影響

妊娠の成立には、精子の数だけでなく、形や動きなどを含めた「精子の質」も関係しています。その中でも、精子が自力で動く能力を評価する指標が精子運動率です。

精子運動率は動いている精子の割合を示す

精子運動率とは、精液中に含まれる精子のうち、自力で動いている精子の割合を示したものです。
精子の動きは、主に次のように分類されます。

前進運動精子と非前進運動精子を合わせた割合が「総運動率」、前方へ進んでいる精子だけの割合が「前進運動率」です。

WHOの下限参考値は総運動率42%・前進運動率30%

WHO(世界保健機関)が2021年に公表した「精液検査マニュアル第6版」では、精子運動率の下限参考値として、次の数値が示されています。

ただし、これらは妊娠できるかどうかを分ける絶対的な基準ではありません。自然妊娠に至った男性の精液データをもとに設定された参考値であり、数値を下回っていても自然妊娠するケースはあります。
反対に、基準値を上回っていれば必ず妊娠できるというものでもありません。精液量や精子濃度、総精子数、精子の形態なども含め、総合的に評価する必要があります。

精子の運動率が低いとどうなる?

前へ進める精子が少ない場合、卵子まで到達できる精子も少なくなり、自然妊娠の可能性に影響することがあります。
精子の運動性が基準値を下回っている状態は、一般的に「精子無力症」と呼ばれます。ただし、運動率が低い原因は一つではありません。
生活習慣や肥満、喫煙などが関係する場合がある一方で、精索静脈瘤、感染症、ホルモン異常などの病気が隠れていることもあります。

精子の状態は毎回変わるので一喜一憂しなくて大丈夫

精液の状態は一定ではなく、検査を受けるたびに数値が変わることがあります。
検査結果には、禁欲期間や採取方法、発熱などの体調変化が影響します。精液の一部を採取できなかった場合や、採取してから検査するまでに時間がかかった場合にも、正確な評価が難しくなることがあります。
一度の検査で結果が良くなかったとしても、すぐに妊娠が難しいと判断する必要はありません。医師の判断により、期間を空けて再検査を行い、複数回の結果から総合的に評価することがあります。

精子の運動率を下げる4つのNG習慣

精子の運動率を改善するためには、まずマイナス要因を減らすことが大切です。特に注意しておきたい4つのNG習慣をご紹介しましょう。

1.下半身を温めすぎる

精巣は体温より約2~4℃低い温度で最も正常に働きます。
そのため、

などは精巣温度を上げ、精子の質に影響する可能性があります。

2.喫煙と過度な飲酒

喫煙は活性酸素を増やし、精子の運動率やDNAの質を低下させることが分かっています。
また、過度な飲酒も

などとの関連が報告されています。
妊活中は禁煙を目指し、お酒は適量を心掛けましょう。
お酒の“適量”とは、1日あたりビール中瓶1本または日本酒1合程度。さらに週2日の休刊日を設けることがおすすめです。

3.肥満と運動不足

肥満や運動不足は男性ホルモン(テストステロン)の低下や慢性炎症を引き起こし、精子の質にも悪影響を及ぼします。BMI25未満を目安に体重を管理し、適度な有酸素運動を継続することが大切です。

【BMIの算出方法】
体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)
例)66.0÷1.71÷1.71=22.5

体重を適正にコントロールすることで精子の質を向上させることが期待されます。

4.長時間の座りっぱなし

デスクワークや長距離運転では同じ姿勢が続き股間が圧迫され、

が起こりやすくなります。
1時間に1回は立ち上がり、軽く歩いたりストレッチを行いましょう。

精子の運動率を上げる生活習慣7選

精子の質を上げるために、日常生活で実践できる具体的なアプローチを7つ紹介します。

1.良質な睡眠をとる

睡眠不足は男性ホルモンの分泌低下や精子形成に悪影響を与える可能性があります。毎日6~8時間程度の睡眠を目標に、規則正しい生活を心掛けましょう。

2.股間を涼しく保つ

通気性の良い下着やゆったりしたズボンを選び、熱を逃がしやすい環境を作ることも大切です。

3.軽い有酸素運動を続ける

などの有酸素運動で骨盤内の血流を良くしましょう。
一方で、長時間のロードバイクなど股間を強く圧迫する運動は妊活中には注意が必要です。

4.ストレスを溜めない

慢性的なストレスは活性酸素を増やし、精子の運動率低下につながる可能性があります。趣味や散歩、十分な休養など、自分なりのストレス解消法を持ちましょう。

5.定期的に射精する

「タイミング日まで精子を溜めておいたほうがいい」というのは、実は逆効果です。長期間の禁欲は古い精子がたまり、運動率が低下する可能性があります。
一般的には2~3日に1回程度の射精が推奨されています。

6. 抗酸化作用のある食事を意識する

精子は活性酸素に弱いため、

など抗酸化成分を多く含む食品を積極的に摂りましょう。
ただし、果物は糖質が過剰にならないよう1日200gを目安に、ナッツ類は脂質やカロリーが過剰にならないよう1日25g程度を目安に摂取するのがおすすめです。

7. 必要に応じてサプリメントや漢方を活用する

食事だけでは不足しやすい栄養素として

などがあります。

生活習慣を整えたうえで、男性妊活向けサプリメントを活用する方法もあります。
また、漢方では体質に合わせて「血流」や「胃腸機能」「睡眠」「ストレス」など全身のバランスを整え、妊娠しやすい体づくりを目指します。

<参考>
男性妊活をサポートするサプリメントとして注目される「翡翠」と「壮若
『日本山人参茎葉粉末サプリメント「翡翠(ヒスイ)」と第3類医薬品滋養強壮薬「壮若(ソウジャク)」の併用が精子に及ぼす影響』
特定のパートナーと1年以上妊娠に至っていない30歳~59歳の男性を対象に、「翡翠」と「壮若」を12週間または24週間にわたって摂取した結果、以下のような変化が確認された。

12週間以上の継続摂取でも一定の改善がみられるものの、摂取期間を24週間まで延ばすことで、精子の状態や男性機能においてより良い結果につながる可能性が示唆された。

体調管理や生活習慣の改善に加えて、特定の成分を含むサプリメントを継続的に取り入れることは、男性妊活をサポートする選択肢の一つとして有効といえます。

精子の質を上げるために必要な期間

精子の質を上げるには、細胞が入れ替わる期間を考え気長に取り組みましょう。

精子は約3ヶ月かけて作られる

精子は精巣で作られてから成熟し、射精されるまで約70~80日かかります。
つまり、今日始めた生活改善の効果が現れるまでには約3か月かかると考えられます。短期間で結果を求めず、まずは3か月継続することが大切です。

改善しない場合は医療機関へ相談を

生活改善を続けてもよくならない場合は、泌尿器科や男性不妊専門外来を受診しましょう。
例えば、

などが隠れている場合もあります。特に精索静脈瘤は、手術によって精液所見の改善が期待できる代表的な疾患です。

今日からの積み重ねが3ヶ月後の精子を変える

精子の運動率は、生まれつき決まっているものではなく、睡眠や食事、運動、ストレス管理など、毎日の生活習慣を見直すことで改善が期待できます。

漢方サロンりんどうでは、「妊娠しやすい体づくり」を大切に考えています。食生活や生活習慣を整えながら、一人ひとりの体質に合わせた漢方をご提案し、男性・女性それぞれの体調を整えることで妊活をサポートしています。

病院での不妊治療と並行して体調管理に取り組むことは、妊活全体の土台づくりにもつながります。精液検査の結果に落ち込むのではなく、健康を見直すきっかけと捉え、夫婦で前向きに取り組んでみてください。今日から始める小さな積み重ねが、3か月後の未来につながります。

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