失って悲しい。だから「父親になりたい」と思えるようになった

長年、妊活を続けてきて、
ようやく宿った小さな命。
けれど、その命はつかの間で天に還っていきました。
そしてその後、再びの妊娠と出産。

今回は、あるご夫婦から伺ったお話を通して、
そのときの「父親になる側」の心の動きをお伝えします。

〜〜〜

7年越しで、ようやく妊娠することができました。
妻が夫に妊娠を告げたとき、
夫の表情が一瞬、曇ったそうです。

妻は、その変化に気づきました。けれど、夫には何も言わず、二人で一緒に妊娠を喜びました。

ところが、残念ながら流産となってしまいました。

そのとき、夫は涙を流しながら、妻にこう話したそうです。
「妊娠したことを聞いたとき、親になる自信がなかった。
でも、今、この子を失ってすごく悲しい。
だから、父親になりたいと思えるようになったよ」

妊娠を喜びながらも、
心のどこかでは「自分が親になる」ということに、戸惑いや不安があった。

けれど、大切な命を失った悲しみを経験したことで、
「父親になりたい」という気持ちが、初めて自分の中にはっきりと生まれたのです。

その後、二人は再び妊娠し、
女の子を授かりました。

妻は、流産した子が戻ってきてくれたように感じているそうです。

「1回目の子は、夫にパパになる決心をつけさせるために来てくれたんだと思っています。
この子に感謝しています」
そう話してくれました。

〜〜〜

妊活は、夫婦ふたりの歩みです。

女性は、自分の身体に命を宿します。妊娠すると、身体には大きな変化が起こり、少しずつ「母親になる」ということを実感していきます。

一方で、パートナーである男性は、妊娠を告げられても、すぐには実感が湧かないことがあります。

もちろん、子どもを望んでいる気持ちはあっても、
「自分が父親になる」
ということを、頭では理解できても、身体感覚として実感することは難しいのかもしれません。

実際に赤ちゃんが生まれ、
周囲から祝福され、
その小さな命を自分の腕に抱いたときに、
「この子が、自分の子なんだ」
と、初めて父親になる実感が湧く人もいるのでしょう。

今回のお話は、このご夫婦だけに限ったことではありません。
これから父親になる男性の中には、
「嬉しいけれど、自分に親になれるのだろうか」
「本当に父親になれるのかな」
そんな戸惑いや不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

父親にしても、母親にしても、
親になる自信なんて、最初から持っている人ばかりではありません。

赤ちゃんが生まれた日が、
赤ちゃんにとっての「一日目」。
そして、パパとママにとっても、
親としての「一日目」なのです。

最初から完璧な親でなくても大丈夫。
赤ちゃんと一緒に、
パパとママも少しずつ親になっていけばいい。

夫婦で支え合いながら、
家族として一緒に成長していけばいいのだと思います。

そして、二人だけで頑張らなくても大丈夫です。
家族や友人、周囲の人たちを、どんどん頼ってください。
助けてもらっていい。
甘えてもいい。
むしろ、たくさんの人を巻き込みながら、家族になっていけばいいのです。

私たちも、そうやって誰かに支えてもらいながら、少しずつ大きくなってきたのですから。

妊活も、妊娠も、出産も、子育ても、決して一人で歩く道ではありません。
夫婦ふたりで、そして周りの人たちと一緒に、少しずつ「家族」になっていけばいい。
そんなことを、このご夫婦のお話が教えてくれました。

2026年9月15日 カテゴリー:不妊・妊活

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